採用市場はここ数年で大きく変化しています。労働人口の減少、働き方の多様化、そして候補者の価値観の変化など、採用環境はかつてないほど複雑化しています。

こうした中、採用担当者は採用計画の立案から求人票作成、母集団形成、書類選考、面接の実施、内定者フォローに至るまで多くの業務を担っており、限られたリソースや時間のなかでより早く、より的確に人材を見極め採用していくことが求められています。

特に人事専任者が少ない企業においては、このプロセスを少人数で行うケースも多く、採用業務が慢性的な「属人化」や「非効率」状態に陥っていることも少なくありません。一方で、デジタルツールの普及や採用代行といった外部支援サービスの選択肢が増えており、従来よりも柔軟かつ効率的に採用業務を進められる環境も整いつつあります。

本記事では、採用担当者が直面しがちな課題を「採用活動のプロセス全体像」に沿って整理し、各ステップごとに業務を効率化する具体的な手段や外部サービスの活用方法について解説していきます!

採用活動のプロセス全体像

一般的な採用活動(採用プロセス)は、「採用計画・戦略の策定」から始まり、「求人票の作成」「求人募集」「書類選考」「面接」そして「内定通知・フォロー」といった一連の流れで構成されます。企業や採用の種類(新卒か中途か)によってプロセスに多少の違いはありますが、おおよその枠組みは図の通りです。

まず自社の採用活動全体をこのようなプロセスに沿って俯瞰し、どの段階に課題があるかを整理してみましょう。

各プロセスにおける課題と効率化ポイント

以下ではプロセスの各段階ごとに、考えられる課題と効率化のポイントを解説します!

採用計画・戦略の策定

課題

採用活動の最初のステップである計画策定が不十分だと、採用の目的や求める人物像が不明確なまま進んでしまいます。その結果、どの求人媒体を使うべきか判断できなかったり、選考の基準がバラバラになってしまい、採用後のミスマッチや無駄な工数が増えてしまうことがあります。また、社内での意思決定の流れが複雑だと、採用のスピードが遅れ、良い人材を逃してしまうリスクもあります。

効率化のポイント

まずは採用目的と計画を明確にしましょう。事業計画に基づき「どんな人材を、いつまでに、何人採用したいのか」を定め、ターゲットとなる人物像の「必要なスキル・経験・資質」を具体的にします。求める人物像を明確にしておくことで、入社後のミスマッチを防ぎ、無駄な選考を減らすことができます。

さらに、自社に適した採用戦略を練ることも重要です。現在利用している募集経路が多すぎたり採用ターゲットと相性の悪い媒体を使っている場合は見直しを図りましょう。例えば、複数の求人サイトにやみくもに掲載しているなら、応募が少ない媒体は数をしぼり、効果が見込めるチャネルに集中することで、掲載作業や応募者対応にかかる手間を減らし、担当者の負担を軽くすることができます。

このように計画段階で「採用の軸」を固めておけば、その後のプロセスもスムーズに進められるでしょう。

求人票作成・募集

課題

優秀な人材から十分な応募が集まらなければ、採用活動は思うように進みません。特に中小企業では、知名度や予算の面で不利になりやすく、応募者の母集団を確保するのが難しい傾向があります。また、複数の求人媒体を使っている場合、それぞれの管理画面が分かれていると、応募者情報をまとめて管理することができず、進捗確認や対応に時間がかかる原因になります。さらに、応募者からの問い合わせがメールや電話などでバラバラに届くと、その対応に追われてしまい、本来の選考業務が圧迫されるケースもあります。

効率化のポイント

募集方法の選定と工夫によって母集団形成の効率を高めましょう。求人媒体、人材紹介会社、ダイレクトスカウトなど、手法ごとに特性が異なるため、自社のターゲット人材に合った手段を見極めます。例えば専門スキルを持つ人材が欲しいなら求人媒体に掲載するだけでは不十分で、ビジネスSNSでの情報発信なども検討すべきです。求める人材層にリーチできるチャネルを選ぶことで、マッチしづらい応募への対応を最小限に抑え、効率よく自社に合った人材を確保しやすくなります。また、求人票の内容も工夫しましょう。自社の魅力や仕事内容を分かりやすく伝え、応募者のよくある質問には事前に回答を載せておくことで、問い合わせの対応を減らすことができます。

書類選考

課題

応募者が集まったら次は書類選考ですが、応募者数が多い場合は履歴書や職務経歴書の確認に多くの時間がかかります。選考基準がはっきりしないまま担当者の経験や主観で判断してしまうと、本来採用すべき候補者を見落としてしまうリスクも高まります。また、複数人で選考を行う場合、選考基準がバラバラだと合否決定に時間がかかったり、意見が食い違って再度面接をやり直すことになったりするなど、無駄が発生しやすくなります。

効率化のポイント

選考基準を明確にしておくことで、選考のムダや判断のバラつきを防ぎましょう。応募者のスキル・経験・適性などの評価項目をあらかじめ定め、点数やチェックリストで客観的に評価できる仕組みを整えておくことが大切です。面接官が複数いても統一フォーマットで評価することで判断のばらつきを防ぎ、意見のすり合わせがしやすくなります。

面接

課題

面接は採用プロセスの中でも重要なステップですが、その際のスケジュール調整は担当者にとって工数がかかる業務の一つです。候補者と面接官(現場担当者や役員など)の予定を調整するには、複数回のやり取りが必要になることもあり、日程が決まるまでに時間がかかるケースがあります。さらに、面接日時の調整に難航すると選考全体が長引き、その間に候補者の熱意が冷めてしまう恐れもあるでしょう。また、遠方の候補者を呼び対面面接を行う場合、移動などのコストや工数も発生します。

効率化のポイント

オンライン面接の活用によって時間と手間を大幅に削減できます。Web会議ツールを使えば面接官も出先から参加できるためお互いの日程調整が格段に柔軟になりますし、遠方の優秀な人材にもアプローチしやすくなり、移動を伴わない選考が可能になるのも大きなメリットです。もちろん最終面接など対面が望ましい場面もありますが、一次面接はオンラインに切り替えるなど段階に応じて使い分けることで、効率化と的確な見極めのバランスを保つことが可能になります。また、日程調整については、外部の採用支援サービスを活用することで担当者の負荷を大幅に軽減することもできます。候補者との連絡や日程調整などを代行してもらえるため、限られたリソースの中でも選考をスムーズに進められます。

さらに、面接においても評価基準を統一したチェックシートや評価フォーマットを活用することで、面接官ごとの視点のズレを防ぎ、より公平で効率的な意思決定が可能になります。特に複数名で面接を実施する場合には、判断基準が明確であることが選考スピードと質の両面に大きく影響するため、事前に仕組みを整えておくことが重要です。

内定通知・フォロー

課題

採用予定者が決定した後も、内定通知から入社までのプロセスで気を抜くことはできません。内定承諾を得るまでの連絡が遅れたり、手続きに手間取ったりすると、候補者に不安を与え、内定辞退につながる恐れがあります。特に他社も受けている優秀な人材ほどスピード感ある対応が求められるため、社内の意思決定に時間がかかると、内定連絡や雇用条件の提示が遅れ、他社に先を越される可能性も出てきます。

効率化のポイント

内定プロセスの迅速化とデジタル化を進めましょう。候補者の選考が終盤に差し掛かったら、社内の意思決定者にはあらかじめ採用予定の打診と承認準備を依頼し、内定のGOサインをスピーディーに得られるようにします。内定通知もメールやオンライン面談で迅速に行い、候補者に入社意思を確認するとともに不安点を解消しておきましょう。また、労働条件通知書などの書類も、可能であれば電子署名サービスを使ってオンラインでやり取りできると手続きがスムーズになります。こうした工夫により、内定者が安心して入社日を迎えられるようサポートしつつ、担当者の業務負荷を軽減できます。

外部サービス(採用代行)の活用による効率化

自社内だけで対応が難しい場合や、採用の専門知識が不足している場合は、外部サービスを活用する選択肢も検討しましょう。その代表格が採用代行(RPO: Recruitment Process Outsourcing)です。採用代行とは、その名の通り採用業務の一部または全体を専門業者に委託するサービスです。

例えば「採用計画の設計」「求人票の作成・公開」「応募者の管理・スクリーニング」「面接日程の調整」「内定者フォロー」といった幅広い業務を任せることが可能になります。採用のプロに委託することで、自社内の工数を大幅に削減でき、担当者は戦略立案や社内調整、候補者との関係構築などコア業務に専念することができます。

採用代行を活用すれば、限られたリソースの中でも効率的かつ効果的な採用活動を実現できるでしょう。

 

まとめ

採用活動の効率化は、多くの採用担当者にとってすぐに取り組むべき重要なテーマです。人員や時間が限られていても、採用プロセスの見直しや改善をすることで、限られた工数で効果的な採用活動を行うことは十分に可能です。

本記事では採用の各ステップにおけるよくある課題と、効率化のための具体的な工夫、さらには採用代行サービスの活用について紹介してきました。まずは自社の採用プロセスを振り返り、取り入れられそうな施策から少しずつ実践してみてはいかがでしょうか。

株式会社ねこのてでは、採用活動全体の運用支援や応募者対応、進捗管理まで、企業ごとの課題に合わせた柔軟な採用代行サービスを提供しています。さらに、媒体選定やターゲット選定、選考全体の歩留まり改善などといった上流部分のご支援も可能です。採用効率を高めたい、戦略的に採用を進めたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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